インプラントがグラグラする… 定期的なメインテナンスが大切です。
12年前にインプラント治療をさせて頂き、定期的にメインテナンスに通って下さっているAさん。
チェアーに座ったAさんと何気ない会話をしながら、表情を見て、顎の動きに異常がないか、しゃべりにくそうにしていないか等を確認。
その後、咬合紙(噛み合わせを確認する赤い薄い紙)で、噛み合わせを確認し、担当の歯科衛生士にバトンタッチ。
しばらくすると、衛生士から、
「右下のインプラント上部が動いています。」
とインカムで連絡が。
あ、あの部分か…
インプラントは、どうしてもネジ止めする事があり、そのネジが経年的に緩んでくる事がある。
またメーカーにより、そのネジの遊びがバラバラだ。
12年前、当時は良いと言われ使用していたインプラントだが、遊びがあまりにも大きいので、数本埋入して使うのを辞めた。
埋入していないインプラントは数本余っていたし、ドリルのセットは一式購入したばかりだったが、今後使うのは、なんとなく怖いと判断し、泣く泣く廃棄した。
そのおかげで、当院では大きなトラブルはないが、あのインプラントを沢山埋入している先生は、今頃、大変な思いをされていると思う。
実際、そのインプラントは、現在販売中止になっている。
今回のAさんの場合、歯が2本つながった形の上部構造だ。
マイクロスコープを使いながら、丁寧にネジ山を明示して、ドライバーを使ってネジを回してみると、何かおかしい。
奥の方が外れ、上部構造を取ってみると、手前のネジが破折していた。
緩みだけではなかった…
さて冷静になり、口腔内の本体に残った折れた先がどんな感じか確認すると、幸い揺れていた。
スルッと取れたので、良かった。
遊びが大きいインプラントだったのが功を奏した。
次に、インプラント部品の在庫を確認する。
ネジは購入していて予備を持っていたはずだ。
ゴソゴソ探すと、あった❗️
見つけて、安堵。
Aさんにネジが破折していた事を説明し、今日は、インプラント上部の再装着を行い、メインテナンスは別の機会にさせて頂く事になった。
やはり、
定期的なメインテナンスは、とても大切です!
インプラントに限らず、噛み合わせも変化するので、症状がなくても歯科医院に通って欲しいです。
Aさんが帰ったあと、ネジの在庫の確認をした。
お口の中に入っている方が数名おられるので、同じような事が起こる可能性がある。
普段使わないインプラントの部品を購入し、在庫として持っているのは不本意だが、遠方からの患者さんも多いので、何回も来てもらうのは申し訳ない。
また、今は、まだ部品提供しているが、今後なくなる可能性がある。
実際そのメーカーのその前のインプラントの部品は、もう販売していないと聞いている。
ちょうど、ディーラーの方が来てくれる日だったので、少し多めに注文を行った。
約10年前、インプラントブーム全盛だったから、日本の歯科界、これから色々起こるだろうなぁ…
僕自身、今でもインプラント治療が必要な方には埋入させて頂いているが、埋入する度に背中の十字架が増える気持ちでいる。
それだけに、やはり自分の歯、天然歯が大切とつくづく思う。
写真は、全く関係なく、先日のスイス研修の際に行ったビルケンシュトックだ。
スイスの大自然に触れ、あらためて人間って、なんてちっぽけなんだ!と確認できた。
日々やれる事から精進を続けていく。
明日も皆様と共に、良い一日でありますように❗️