今は痛くないし、噛めてるから… お気持ちはわかりますが… 入れ歯も嫌、インプラントは高い…

約10年ぶりに来院されたAさん。

ちょっと段差が出来て、色が黒くなっているので診て欲しいが主訴。

年齢は70歳を超えられている。

 

以前のカルテを振り返ると、リコールの途中で通院を中断されていた。

左右につながっている被せ物があり、その下が不安なので、近々やり替えなきゃいけないという

話もしていたのですが、ご本人の希望で治療には入っていなかった。

 

この約10年、どうもなかったらしい。

お口の中を拝見すると、被せ物に段差が出来てきている。

また色も変わってきている被せ物もある。

 

10年以上前、前の先生のところで、少ない本数の歯で何本もの歯を支える治療をされていた。

治療時に5年持てば良いと言われていたが、結果として10年以上持っている。

見事な治療だ。

 

しかし、今回は同じように治すのは非常に厳しい状態。

年齢の事も考えると、義歯(入れ歯)への移行も考えたい。

 

Aさんに限らず、大掛かりの治療は、元気なうちにして欲しいと思う。

足腰が弱ってから歯が痛いと来院されても、通院が困難な事がある。

また家族の介助が必要な場合も。

そうすると、対症療法しか出来ない場合が多い。

 

今回、Aさんに治療介入の必要性を話すも、

取り外しの入れ歯は嫌だ。

インプラント(人工歯根)は高いので無理。

今、噛めているので、このままがいい。

 

お気持ちは、すごく解るのですが…

将来すごく苦労される事になるかもしれませんよとお話しても聞く耳を持ってくれない。

こんな時は、

解りました。

Aさんのお気持ちを優先して、そのままでいきましょう。

ただ、何年も来ないという状態は非常に危険なので、定期的に診せて下さい。

 

このようなお答えをする。

定期的に診せてもらっていると、大崩れの予兆が解るので、取り返しがつかない事態を避ける可能性が高い。

本当は、治療させて頂きたいのだが…

 

あなたの将来のためですよと言っても、人間、現状に満足していれば、次の一歩は中々踏み出しにくい。

あの時、ああしておけば…

単なる長寿ではなく、健康寿命を伸ばす事に、歯科医療は大きく関われると思う。

西の端で、これからもスタッフと共に、元気な皆さんをサポートしていきたい。

 

明日も皆様と共に、良い一日でありますように!

長崎 佐世保 平戸 松浦 インプラント 予防 歯科衛生士

写真は、もう10年以上前にインプラント治療をさせて頂いた方。

当時、頑張ってやって良かったとメインテナンスの度に言われる。

定期的に自費の予防会員で診せて頂いているので、本当に有難い。